戸崎慎介(葉山良二)が、東京に近い中都市のスラム東雲町に下宿したのには三つの理由があった。一つは医者として急患の病人を救えなかった責任感。一つは妹佐紀子(吉行和子)が許婚者梶原(梅野泰靖)と結婚する前、梓組の与太者に暴行され破談になり自殺未遂になったこと。もう一つは幼なじみの加代子(南田洋子)がおちぶれてここで売春婦をして、昔の愛を取戻すためだった。慎介は善良で正直な老医師笠間(宇野重吉)の診療所で懸命に働いた。梓組の実体は近郊一帯を牛耳る暴力団で佐紀子の事件も警察は尻込み、梶原も仕返しを恐れ証言を否定し解決しなかった。梓組組長梓米吉(滝沢修)は東雲町が市有地であるのに目をつけ、ここに市営アパートを建てひともうけしようとたくらんだ。(goo解説)