夜桜銀次こと平尾国人と、石野組々長・石野一郎は、愚連隊時代からの兄弟分であった。昭和三十二年三月、別府市で開催される博覧会の施設の利権をめぐって、新興石野組と旧勢力坂口組が対立した。銀次は石野が坂口組に狙撃され、重傷を負ったために、坂口組幹部を殺害し、内妻のふさ子を伴って九州を脱出、大阪の柳川組々長・大東武司の許へ身を寄せた。そんなある日、パチンコ店で暴れていたチンピラ真三を引きとった銀次は、何かと面倒を見るようになった。昭和三十三年三月、石野は神戸兵藤組三代目・田岡一雄の盃をうけて若衆となり、兵藤組の力を借りて北九州制覇を企んだ。しかし、兵藤組七人衆の山地行雄、関本貫一、吉村弘、郡司正一らに低姿勢な西野を見た銭次は、彼の真意が理解できず、不愉快だった。急速に勢力を拡大してきた元達文率いる大阪双竜連合会は、大阪市内いたるところで暴虐のかぎりをつくして...